これが私の書きたいこと! 失いながら生きる(10)

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失いながら生きる(10)

 電車に揺られながら、今しがた別れてきたあの人は一体何者だろうかとぼんやり考えていた。
 東大出身で医学の博士号を持つ青山圭秀氏を「ベストセラー作家」にまで知名度を高めたのは、あの僧侶が、あるホテルの側に在る電話ボックスの中にいて、丁度開いているページにサイババの写真が「で~ん」と無頓着に広げてあったたからだと、青山氏は告っていた。
 かの僧侶はインドにいるにしては色も白いし、食えない貧困層が圧倒的多数のインドでメタボを自覚しなければいけないような体格をしていた。ただ、自分が知っているインドの聖者と呼ばれる人達はデブというわけではないが、非常に恰幅のいいなりをしている。ミャンマーで上座部仏教の僧侶となったセアロという日本人(ご老体)も、痩せているようには見えなかった。
 嘗て読んだ「あるヨギの自叙伝」を書いたパラマハンサ・ヨガナンダは、一晩で願ったとおりの非常に肉付きの良い体に変わっていた・・・というような内容を記していたように記憶している。あのような段階に達した人は自らのシルエットを食べる食べないに関わらず自在にコントロールできるのだろう。でも、この怪しい日系インド人僧侶は非常に世俗的な意味でメタボリックな印象を受けた。恐らく主観の問題なのだろうと思う。
 
 当時から、確かに我が家の台所は火の車だった。娘のバレエに年間100万円はかかっていたと思う。
 
 夫が管理職になるや否や残業手当、家族手当てはカット。カット、カット、カット。

 「人間というものはいつもお金の心配をしていると、人間が小さくなる!」
 
 ――――これが母の持論だった。まさに当時の自分は10円たりとも忽せにできないありさまだったと思う。一般のサラリーマン家庭で月当たりの収入が8万円もダウンしたらどうなるか、想像に難くないのではなないだろうか・・・。一日に数十種類の栄養を摂取するように奨励されている中、昔の人のように大豆や野菜だけのような食生活は恐ろしくてできないように我われは「栄養学」という名の一種の洗脳を受けているのだ。

 バレエで将来食えるとしたら、プロの男性ダンサーと結婚し、教室を開くしかない。プロの女性ダンサーなんていうものは日本には一人もいない。
 
草刈民代みたいに親が大金持ちで、都内に牧阿佐美バレエ団へ稽古場をど~んと提供できるような状況なら、1万円以上もするチケットのノルマが何枚こようと、蚊が刺したくらいのインパクトしかないに違いない。草刈民代は死ぬまでお金の心配などをする必要もなく、ただバレエのことだけを考えていればいいのである。
 
牧阿佐美バレエ団は専属のオーケストラまで持っている。やはりバレエは総合芸術。生オケで見るのは非常に気分がよい。バレエというダンスにクラッシックのオーケストラ、これでソプラノ歌手でも連れてくれば、総合芸術と呼ばれるのにふさわしいものになるに違いない。
ただ、あまり知られていないが、草刈民代はダンサーとしてのランクはそれほど評価されていない。その証拠に、幼稚園児時代からクラッシックバレエを習い始めたような子供は、中学生くらいになると彼女のパフォーマンスに首をかしげるようになる。基本が明らかに崩れている場面を何度も見せられるからである。
 
 何かとお金のかかるバレエ団運営にはスポンサーは欠かせない存在である。つい先日、草刈民代は引退したようだが、元々の素質も並程度のダンサーであり、耐用年数が切れていて、テクニックもまともに決められない彼女を、最後までプリマに置いていたのは、単に彼女の実家が裕福であったからであろう。

 ローラン・プティから殊の外かわいがられていた上野水香ちゃんは牧阿佐美バレエ団から東京バレエ団に移籍した。「シルヴィーギエムを超えた」と世界が認めた天才ダンサーでも、牧にいては、あくまでも草刈民代の二番手に甘んじるしかない。移籍の本当の理由は知らないが、こんな事情も絡んでいるのではないかと自分は密かに思いを巡らせたことがある。
 
 娘の同級生で東京バレエ団に入団したてのダンサーがいるけれど、とにかく、昼間はバレエ団でレッスン、リハーサルがあるので、終わってから皆それぞれ夜の酒場でアルバイトしているという。
 
 娘にはバレエでプロになりたかったら外国に出るしかないということを、小さい頃から言い聞かせてきた。それで娘は高校を中退しヨーロッパの、ある国の国立のバレエ学校に3年間留学をした。お金が続かなくて、もうバレエは止めさせようと思っていたけれど、専門学校への進学なら教育ローンが借りられるという事に気づいて、250万円のローンを組んで娘をヨーロッパのバレエ学校に送り込んだのだった。
これだったら借入金の返済は10年で終われば良いので、昨今の低金利時代、月に2万5千円を支払えばいいことになる。赤貧洗うがごときバレエ貧乏一家は、季節はずれのプライヴェートオーディションを受け付けてもらえる学校を探して、やっと入学を許可してくれる学校が見つかった瞬間に普通のサラリーマン家庭に戻ることを許された。・・・。

 これで、あの気違いじみたお金の支払いにかかるストレスを娘にぶつけなくて済むようになると思うと、心の中に渦巻いていた娘への罪悪感は解消できたが、うつ病だけはまだ残っている。娘にかかる費用を捻出しようとして始めた精神保健福祉士の勉強と精神科病棟での挫折体験は幻聴という恐ろしいトラウマとして私の心に光のさすことを拒んでいるかのようだ・・・。

 ヴァラドアージャの預言書に記されていた

 「娘は世に出る」とか
 「コンクールにでも出してもらえれば・・・」というところが多少ひっかかったが、確かに今の日本のバレエ人口は世界1である。だから、どこもここもコンクールラッシュである。だが娘の稽古場は全幕ものの公演活動にしか興味がないらしく、コンクールの「コ」の字も出てきたことはない。
 
コンクールに頻繁に参加していたら、超人的な身体能力を持った子供がうじゃうじゃいて、派手なパフォーマンスが繰り広げられているのを見て早々とバレエは中学校で卒業・・・となっていたかもしれない。見極めのチャンスが親子に与えられてこなかったので、ずるずると娘はバレエを続けているのである。「あなたの娘は死ぬほどお金を使わせる・・・」仰せのとおりの場面がこれまでも、またこれからも続く可能性は高い。

 この娘というのは、非常に心根の優しい正直な子供だった。魚屋の前を通ると、死んだ魚が値札と一緒に並べてあるわけだが、

 「お母さん、このお魚さんを殺したのは誰なの?」

 と涙ぐんでいた。夕飯の際にテレビを見ていたら、第三世界に生きる子供たちの過酷な日常が紹介されており、彼らは学校にも行けず、ご飯もろくに食べておらず、一日に水汲みをするのが精一杯で、後は旱魃にやられた痩せこけた大地に種を蒔くだけだった。そのときの我が家の食卓は、ほか弁のオンパレードであったが、小学生の低学年だった娘は「私は要らないから、このご飯をあそこの人達に送って、ねえ、おかあさん・・・・」(号泣

この娘はウソをつくような子供ではなかった。そして、インド人のアイドルと化したサイババは娘の願い事を瞬時に聞き入れてくれることが分かってきた。








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ジャンル : 日記

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No title

ヴィヴェーカナンダが何者か分からず、思わず検索かけてみたけど、
やっぱりわからないというか、深い。
その深みにはちょっと踏み込む時間が無いとか思ったので、
よくよく調べるのを断念しましたが、
ファンタジーじゃないかと思うくらい物語は神がかって来ましたね。
実話なんだろうけど、どこまでぼくの想像力がついていくか分かりませんw
続き、楽しみにしております。

Re: No title

読んでくださってありがとうございます。
ヴィヴェーカーナンダに関しては、私が「ヴィヴェーカナンダ」と書きましたので、多分ひっかからなかったのでしょう。お手数かけました。

多くの人は「ヴィヴェーカーナンダ」と呼びます。(本名はナレンドラ)
インド人でサマディ(三昧)の境地に達している人はホーリーネームをもっており、そのサマディの境地を指す言葉が{アーナンダ」ですから、彼のグル(師匠)は彼が鋭い知覚を持っているとしてヴィヴェーカ=識別という意味の名前を与えたので、それに「アーナンダ」をくっつけると「ヴィヴェーカーナンダ」となるわけですが、私は彼を非常に身近に感じていて、東京に住んでいたころはヒンズー教徒との接触が多かったので「ナレンドラ気違い!!」と密かに呼ばれていました。

ですから、ヴィヴェーカーナンダと発音すると、どうしても最後に「アーナンダ」という響きが入ってきて、彼が遠い人になってしまうので、彼を身近に置いている人は、それを避けて「ヴィヴェーカナンダ」と呼ぶようです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%80

実話です。だから悩むんです、どこまで書いていいのか・・・(笑



> ヴィヴェーカナンダが何者か分からず、思わず検索かけてみたけど、
> やっぱりわからないというか、深い。
> その深みにはちょっと踏み込む時間が無いとか思ったので、
> よくよく調べるのを断念しましたが、
> ファンタジーじゃないかと思うくらい物語は神がかって来ましたね。
> 実話なんだろうけど、どこまでぼくの想像力がついていくか分かりませんw
> 続き、楽しみにしております。
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