これが私の書きたいこと! 失いながら生きる(2)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

失いながら生きる(2)

 うつ病になる原因については医者によって見解が異なっている。これが人事なら、「諸説アル」ということで自分などの知ったことではない。
 何ら原因となるような異変や継続して心を苛む人間関係や物事の存在がないにも拘らず、突然うつ病にかかる人がいる。昔は――――と言っても、どのくらい前なのか自分は、はっきり知らないが―――こういうケースが圧倒的に多かったらしい。

 うつ病という状態は脳の中にある、いく種もの神経伝達物質のうち、活動的な精神状態保つ役割を果たしていると考えられているセロトニンやアドレナリン等が通常の人間よりも極端に少なくなっているために引き起こされるらしい。
 突然発病する人は医学的には当然、何らかの原因があるはずなのだけれど、公には、「遺伝的要素が絡んでいるケースもある・・・」という歯切れの悪い不自然な見解が大勢を占めているらしい。
 
 自分は、このような発病の仕方をする人は殆ど遺伝的な宿命なのではないかと密かに思っている。医者の息子は、一部例外はあるとして、常人よりも遥かにやすやすと医学部に進学する。それを見て、不思議に思う人もいないわけではないだろうけれども、大方の人達は血統がそれを可能たらしめていることを無言のうちに了解しているはずである。ならば、明るく、陽気で、面倒目のよかった人が、ある日突然、口がきけなくなって寝込んだりするような事態があるとすれば、まず一番に頭に浮かぶのは血統――――つまり、遺伝的問題だと考えるのが自然ではないだろうか。
 しかし、それを医学上の常識であると認めてしまうと、精神疾患患者を親や兄弟・姉妹にもつ人達の就職や結婚に深刻な影響を及ぼすことになるのは必至である。これは、極言すれば、部落問題のようなややこしい差別論争を引き起こしかねない。統合失調症の母親が双子を出産した場合、50%の確率で片方の子供は同じ病を発病しているにもかかわらず、以後巻き込まれるであろうと思われる訴訟や賠償金問題やらに早くもうんざりして、医学界――――というより厚生労働省は、例の事なかれ主義でもって、遺伝的要素は否定できないけれども、その割合は軽微であるという立場をとっているような気がする。

 原因不明のうつ病患者の場合は3ヶ月程度の服薬で寛解もしくは、限りなく治癒に近い寛解という状態にまで回復し、薬との縁が切れるのも早いような印象がある。しかし、今の時代、うつ病で精神科もしくは心療内科のお世話になる患者の殆どは発病の原因がはっきりしている。
 自分も含めて、一般に内科や外科と違って精神病院という所は、つとに敷居の高い所である。可能ならば誰だって、一生涯、無関係でいたい場所の一つであろうことは確実である。そもそも子供の時代に、自分がそんな病院の患者の一人になるはめになるなどと予想していた人間なんて、ただの一人もいないのではなかろうか。

 一年の半分以上を、ホテルのように清潔でゴージャスな設備と、気の利いた対応をしてくれる医者や看護師、それに同じ病に苦しむ輩に囲まれて過ごしていると、島倉千代子の声で決まったフレーズが毎日のように、不可解な安堵感を伴って響いてくる――――「死んでしまおうな~んて、悩んだりもし~たわ。薔薇もコスモスさえも消えてお終いよぉ~・・・人生いろいろ、患者もいろいろ・・・」
 
自殺防止のためにカーテンによる仕切りはないものの、冷たいパイプ式ではないフランスベッドに一人に一台の冷蔵庫、2人部屋・個室になると、高台に立つ病院からの美しい夜景に24時間使えるユニットバス・トイレまでついてくるのである。
 演歌に励まされる自分は我ながら呆れるほど滑稽で、手の施しようのない生き物に変身してしまったのではないかと感じられるのは何故だろう?昔の精神病院の病棟は鉄格子と頑丈な鍵で社会から完全に遮断された狂人の棲家だったはずなのに、時代は変わり、時代の方が精神病院に歩み寄ってきて、自分が一生ここに住んでいられたら、どんなに楽で快適な人生になるだろう・・・などと、ちょっと家人には口に出しては言えないようなことを夢想させるほど、病棟での生活が気楽で心地よいからかもしれない。自分をいつもイライラさせる家事の全てが、そこにはないのだから。

 近年、テレビ・新聞・雑誌などのメディアを使って、製薬メーカーが盛んにキャンペーンを行っているように見える。

 「うつ病は心の風邪。正しい服薬によって短期間に必ず治ります」。
 精神疾患の経験のない人達がこのコピーに触れると、うつ病とは一過性の心理的な落ち込み状態を指しているのだと想像するにきまっている。うつ病イコール「セイシンビョー」という、ある気色の悪さを払拭するのには、うってつけの効果が期待できるかもしれない。病院に行くこと自体に対する抵抗も格段に低くなるだろう。しかし実態は違う。うつ病というのは「心」という物理的に実態を持たない曖昧なものの不調などではなく、複雑な構造を持ち、全ての機能の数パーセントしか未だに解明されていない立派な「脳」の病なのである。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

はじめまして。

なんというか、非常に正しいニホンゴを書かれますね。

というか、小説なのか。

というか、サブタイトルに「うつと戦いながら」とあるから、

実話なんだ。

精神神経系の病については結構思う事があるのですが、

自分のブログに書くかな。


というか、

文章が綺麗なので、すっと心地よく入ってきました。

続き、楽しみにしております。

そうwそれが言いたかった。

私小説風のなぐり書き

らいとさま
訪問ありがとうございました。
おまけに、ちょっと褒めていただいて、モチベーション、あがりました(^_^)

なぐり書きなんで、自分の状況の詳述なんかは、書いててうんざりするんで、これからは、沢山関わってきた精神科医や、病院の内部事情で、精神科なんぞとは無縁の方が読んでも面白く思ってもらえるような内容に変えていくつもりです。

私小説しか書けないんで、読むのに気合が要るのに、読んでくださってありがとうございました。

自己満足のためにも、がんばります(@^-^)_且~~
プロフィール

アバター薫子

Author:アバター薫子

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
日記
17549位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
主婦
1928位
アクセスランキングを見る>>
ランキング
気が向いたら記念にポチっとお願いします!
フリーエリア
ユニセフ
http://www.unicef.or.jp/img/link_120_60.gif
フリーエリア
高校生の頃よく聴いてました
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。